町家のはなし

京都一の傳本店は、
京都に古くから伝わる町家造りの建物です。
外観から内装、細やかな装飾に至るまで、
機能美あふれる居心地の良い空間となっております。
その1つひとつを順にご紹介いたします。

屋根のむくり

むくりとは「起り」。一見、通常の三角の屋根に見えるのですが、横から見ると軽く丸みを帯びた形になっています。とても優美な形状をしていてながら、雨水をしっかりと集めるための工夫がされています。

虫籠(むしこ)窓

二階の格子をワラで包み、その上から漆喰で塗りこめた町家特有の窓。姿形が「むしかご」に似ていることから、虫籠窓とよばれるように。虫籠窓がつくられた理由は防火のため、また、道行く人を見下ろさない配慮とも言われています。

一文字瓦

町家の軒先は真一文字になっていることが多いですが、これが町家の特徴「一文字瓦」です。一文字瓦は、その下端のラインを一分のくるいもなく揃えなくてはならず、まさに、町家職人の腕の見せ所といえます。

京都一の傳本店が面している柳馬場通。豊臣秀吉が造営した遊里の周辺に柳が植えられたこと、江戸時代に馬揃えが行われたことから「柳馬場」が通り名として残ったのだそうです。柳の木が、当時の情景を偲ぶかのように優美な姿で皆様をお迎えいたします。

格子

戦国時代に防御の必要から考えられた格子は、外からは内部が見えにくい反面、中からは外の様子がよくわかる、という機能的なもの。光や風を通しつつ、視線を遮る都人の知恵が今なお多くの町家に息づいています。

うだつ

屋根の両端を一段高く張り出し、隣家からの火災の類焼を防ぐために造られた防火壁のこと。後に、装飾の意味合いが強くなり、裕福な家の財力アピールに使われていました。慣用句で使われる「うだつがあがる」の語源とも言われています。